CARPE DIEM | BRAZILIAN JIU-JITSU(東京の柔術道場)

COLUMN

#22 章太郎さん、さようなら

Posted on 2016/04/11

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カルペディエムのインストラクターを務めてくれていた鈴木章太郎さんが4月1日に脳梗塞のため永眠されました。

3月23日に飲食店で倒れられたそうです。奥様からご連絡いただき、章太郎さんの回復を願っていましたが章太郎さんはそのまま亡くなってしまいました。

章太郎さんと僕が知り合ったのは僕が26歳の頃だと思います。当時は僕も章太郎さんも青帯でした。そして、なんと同じフェザー級だったのです。章太郎さんとの試合は鮮明に覚えています。試合が始まりお互いに距離を取っていると、章太郎さんは「さあ、来いよ」と言わんばかりに人差し指を自分の方に曲げて僕を挑発してきました。そんなことをされたのは初めてだったので「なんだコイツ!?」と思いました。それが僕と章太郎さんの出会いでした。

それから章太郎さんはライター業を始められました。柔術界では有名なDVD付きのムック本「柔術魂」シリーズを創刊されたのも章太郎さんです。僕も何度か取材を受けたりしました。章太郎さんはいつもニコニコしながら取材していました。この人は本当に柔術が好きなんだなぁと思っていました。

章太郎さんは僕がカルペディエムという道場を始めたのと同時期くらいに「カルペディエムで練習させてほしい」と道場に来てくれました。せっかくなので不定期で指導する「インストラクター」として所属してもらいことになりました。

章太郎さんは三田道場だけ、しかも早朝クラスだけの指導だったので実際に指導を受けたことのあるメンバーさんは少ないかもしれません。しかし、青山道場にはたまに練習に来てくれていたので章太郎さんとスパーリングしたことのあるメンバーさんは多いのではないかと思います。

章太郎さんは強烈なパスガードの持ち主でした。僕もすごく苦しめられました。章太郎さんにはやられっぱなしでした。章太郎さんはパスガードした瞬間に勝ち誇ったように「ヤー!」と叫ぶのですが、それが無茶苦茶ムカつくんです。笑 僕らの最後のスパーリングでもやはりパスガードされました。勝ち逃げされてしまいました。

章太郎さんには早く黒帯を授与したかったです。うちには古い茶帯が何人もいるのですが、黒帯を授与するタイミングが難しいのです。だからみんなに何か課題を与えるようにして、それを乗り越えたら黒帯を授与しています。「なんとなく、もうそろそろ良いだろう」っていうのは良くないと思います。現在茶帯であるということは、もう相当な練習をしてきたということ。柔術がその人の人生の大きな部分と占めると言っても過言ではないでしょう。だったら、そんな大事な柔術の一つの大きな節目であろう「黒帯」に対して妥協はするべきではありません。胸を張って、心に一点の曇りもなく堂々と腰に巻いて欲しいのです。章太郎さんには「小さな大会でもなんでも良いから茶帯で3回優勝したら黒帯ね」と伝えてありました。本人も僕に会うたびに「大会出ますよ!」とか言ってくれていました。

ある日、章太郎さんが練習前に「石川先生、いつの日か ”この男を道場において良かった!”と先生に思ってもらえるようになりますから!」と突然僕に真顔で言ったのです。僕は「ああ、なんすか急に。。」と苦笑いすることしかできませんでした。あれは一体何だったんでしょう。仕事とか忙しくて思うように練習できない自分を不甲斐なく思いつつも、常に柔術とは真剣に向き合っておられたんだと思います。

一度だけ章太郎さんにちょっとだけ厳しく道場のことで注意したことがありました。章太郎さんが思った以上に恐縮してしまったのを覚えています。今となっては「あんな言い方する必要なかったかな」と思います。章太郎さんごめんなさい。でも死んでしまったらもう謝っても伝わらないんですね。教訓になりました。もっと他人に寛容な人間でいようと思います。

章太郎さんはなぜかすごくフォトジェニックでした。被写体として惹きつけられるものがありました。これらは全てフィルムで撮影した写真です。僕が写っているものはリンタロウにカメラを渡して撮ってもらったものだと思います。

章太郎さんとスパーリングする時はいつも真剣でした。いつもスタンディングからやっていました。僕がしっかりとストレッチしている時にはすでに構えていました。なんか涙が出てくる。

 

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いきなり「腕返し」とかそういう危険な技を仕掛けてくる。笑 そして寝技になるとしつこいくらいのハーフガード。やることはいつも同じだった。

 

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一番重い時は100キロくらいあったかも。。でもダイエットに成功して80キロ以下になっていたと思う。僕が同階級で試合したことがある、とメンバーさんに言うとみんなすごく驚いていた。

 

 

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最近まで普通にスパーリングしていたから本当に今でも章太郎さんの死が信じられない。脳梗塞というのは未然に防げなかったのかな。。とか思う。死んでしまったら全部終わり。ご家族のことを思うと心が痛い。

僕のような自営業者は健康診断を受ける機会がない。今年になって初めて人間ドックに行ってきた。概ね良好だったけど、やはり気をつけなければならない点も見つかった。最近は会う人みんなに健康診断を勧めている。タバコを止めろとか、酒を飲み過ぎるな、とかみんなに言ってしまう。ウザいかもしれないけど、そんなことと脳梗塞は関係ない場合も多いんだろうけど、、でもやっぱり言ってしまう。章太郎さんとはもっとスパーリングしたかった。

章太郎さん、さようなら。沢山の思い出をありがとうございました。僕はこれからも健康に気をつけながら頑張り続けていつの日か「伝説の道場」と語り継がれるようなものを作っていきます。章太郎さんがインストラクターとして在籍したことを誇りに思ってくれるような道場にします。

 

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